指導員ブログ

長い話になりますが…

2020/10/15(木) 23:24

小学生~高校生の時まで空手を教え一緒に稽古をしていた子が、今は教育委員会の一員となって立派に働いている青年と一昨日会った話をします。



前置として、彼は10年前に空手から離れていますが、大人になった今でもこうして私と親しくしてくれます。



六大学の一つに在学していて、卒業後は教育者として子どもたちの為に一所懸命動いてくれています。



そんな彼にこんな疑問を投げかけました。



(私)『ある話で、小学生のテストの問題にコップの絵が書かれていた。ある子が答えをグラスと書きました。しかし答えはバツ。それを親が先生に(親)「なぜバツなのですか?グラスとも言いますよね?」(先生)「そうですね、グラスとも言います。しかし、学校ではこれはコップと教えていますのでコップが正解です」…この話ってどうなの?子どもの可能性や想像力を狭めてしまうからおかしくないのか?」と。



すると彼は、



「小学校や中学校ではそういう教育をしているんです。学校でこうだと教えたらそれが答えで、それ以外は基本バツ。△をつける先生もいるでしょうが、日本の学校教育というのはこれが現状です。でも、これも大事なことなんです」と。



さらに、



「答えが複数想像される問題は愚問かもしれませんが、これも縦社会では大事なことなんです。でも逆にApple創業者やGoogle創業者などの想像力豊かな人間が日本では育たないのも現実です。決められた事をきちんと行うことも教育。想像力を育て、自由な発想を引き出し、道は一つではなくいくつもある事を教えるのは道徳という時間で教えています。」



この辺りで私の考え方が変わりました。



元々、自分が固定観念や決められた枠にはめられるのが非常に嫌いで、想像力を湧き立たせ、幾つもの選択肢や道を見つける将棋のような考え方をする人間でもありましたから。



なるほどと。



確かに空手の稽古の中でも、この技の手の位置はこうだとか、足の形はこうだとか決められたことを教わり、同じことを生徒には伝えていますから。



少し私が教わったことと違うことを今の生徒に伝えていることは、何故こうでなければいけないのか理由を説明します。例えば、拳の握り方にしても、怪我をしないようにちゃんと力を伝えられればどんな握り方でも良いとある程度自分が良いと思えることを自由にやってもらいたいと言っています。



私は、教育委員会の彼の答えを聞いて日本の教育は子どもの可能性と想像力を抑えてしまっていると小さな絶望感に襲われましたが、彼は最後にこう言いました。



「だから、今こうして田中先輩がその自由な発想と学校で教えれられない事を教えているじゃないですか。学校で教えなければいけない事と、学校では教えない事どちらも絶対に必要なんです」



私が道場生に伝えたいことは、やらなければいけない決まり事もある程度我慢してやることも人生において必要なことです。



反対に、答えは一つと決めつけて、そこだけに真っ直ぐ進んで行ってもだめ。多くの人の話や行動を観察し、多くの選択肢を見つけ、何事も経験し、失敗を恐れず転び、起き上がり方を学んで欲しいと。



とにかく人よりも多くの経験をしてください。



こうした無限の可能性を持っている若い子達と話していると、本当に楽しい時間を過ごせます。



この歳になって柔軟な頭になっていることに感謝しています。





木曜日の稽古の写真

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